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「朝飯図書館」開催レポート

夏の朝、図書館にごはんの香り

夏の朝5時。もうすっかり明るく、じんわりと汗ばむ空気の中で、図書館にほど近い「日替わりcafeりんごの樹」の調理場には湯気と笑い声が立ちのぼります。
岩渕薬品の皆さんや地域のボランティアの方々などが、早朝から集まり、おにぎりをにぎり、そうめんなどを用意してくださいました。鷹の台自治会長から寄せられた新米は、炊きあがるたびに甘い香りを漂わせ、今日も子どもたちを迎える準備が整います。

「朝飯図書館」は、そんな多くの人の力に支えられて、この夏(8月26日~29日)に実現しました。

オープン時間の7時30分前。すでに図書館を訪れる子どもたち。
最初は少し緊張しながらやって来た子も、ごはんを食べるうちに表情がほころびます。となりに座った子と自然に会話が生まれ、最後は一緒にボードゲームで盛り上がったり、本を開いて机を並べたり。初めて顔を合わせた子が、勉強仲間や遊び仲間になっていく光景があちこちで見られました。

日ごとに参加する子どもたちは増えていきました。初めて来た子が翌朝には友達を連れてきたり、「今日はそうめんがないんだ…」と残念がる子がいたり。毎日欠かさず通う常連のような子も多くいました。受験に向けて勉強する中学生たちの真剣なまなざしもあり、ごはんを食べた後も図書館に残って勉強に打ち込む姿が印象的でした。

28日、29日に実施した「こども食堂スタンプラリー」は、市内こども食堂と連携して、スタンプの数に応じて、日替わりcafeりんごの樹の「ヤバい駄菓子屋」で駄菓子が買えちゃうスペシャルな特典。多くの子どもたちが市内のこども食堂を知るきっかけにもなりました。

プログラムも盛りだくさんで、一般社団法人Spiceのスタッフによるボードゲームの日、インターネットをテーマにしたお話の日、プロサーファーが「勇気がでるお話」を語ってくれた最終日…。子どもたちはその日ごとに違う学びや出会いを体験し、図書館の空間に新しい記憶を刻んでいきました。

おにぎりが想定より早くなくなってしまった日もありました。けれど、そうめんをすすりながら「これもおいしいね」と笑い合う顔に、大人たちはほっと胸をなでおろしました。

「図書館ってこんなに楽しいんだ」
「また来年も来たいな」

帰り際にそんな声が聞こえるたび、胸の奥があたたかくなりました。朝飯図書館をきっかけに、図書館が子どもたちにとって「人と出会える場所」「勉強をがんばれる場所」「思いがけず楽しい時間が生まれる場所」になったことを実感できたからです。

多くの人の協力で生まれた「朝飯図書館」。ここで過ごした夏のひとときが、子どもたちの心の中で小さな力や勇気に変わり、来年の夏もまた図書館で会おう、そんな未来につながっていくことを願っています。

朝飯図書館の開催にあたり、四街道市との研究協定に基づく、岩渕薬品株式会社、千葉大学予防医学センターとの連携、また日替わりcafeりんごの樹、NPO法人地域の医療を明るくする会、鷹の台自治会長、一般社団法人Spice、合同会社オブジェクトネクスト 野崎亮さん、プロサーファー 井上鷹さんなど多くの皆様にご協力いただきました。この場をお借りして感謝申し上げます。
※本朝飯図書館は、鹿島学術振興財団「特定テーマ研究助成」をいただき実施しました。

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